黒部ルート
2024年度から一般開放されるとニュースの出た黒部ルート見学会に運良く参加できたので、その旅行記です。
時系列から言えば、アルペンルート行った旅行の残りの日程、愛知DCフリー切符の旅1回目後編と2回目が挟まるはずなのですが、こっちの記事の方が筆がのったので先に書きます。
そもそも黒部ルートとは何ぞやという話なんですが、黒部ダムへと通じる3つあるルートの一つです。
一つ目は長野県大町市から、関電トンネル(関電トロリーバス)で来るルート。
二つ目は富山県立山からケーブルカー、バス、トロリーバス、ロープーウエイ、ケーブルカーを乗り継いで来るルート。
上二つは春から秋にかけて一般営業しているのでお金さえ払えば誰でも行けます。通れます。
ただ、最後の黒部ルートは現時点においては一般公開されておらず、関係者のみが利用するルートになっています。
一般開放に向けた協定締結のプレスリリース
さて、そんな黒部ルートですが存在を知り行きたいと思ったのは去年。
その時にはもう既にその年の募集は終わっており次の年に応募しようと思っていました。
そして年が明けて今年。
存在を忘れずに富山県、関西電力のホームページを確認して今年の応募が始まっていたのは気付いていたのですが、予定が全く合わずに応募できない日々が続きました。
そして夏になりようやく応募できる状況になり第32回、33回に申し込みました。
Twiterなどで見た状況から第33回も9月上旬には当選連絡の発送が行われていたようでした。
その時何にも連絡が来ていなかった私は、当然落ちたものと思い、でも関電トロリーバスに乗りたいと思って前回記事の旅行の予定を立てました。
内容が薄いですが詳しくはこちらへ。
そして上記の旅行が終わった10月上旬、050から始まる見知らぬ電話からの着信が続きます。
留守電契約していないので電話に出ないとただ切られておしまいという形になるのですが、気になって電話番号検索したところ、発信先の契約会社はmineoでおなじみの関西電力系の通信事業者ケイ・オプティコムでした。
全く心当たりがない中でもまた着信が入ったので出たところ黒部ルートの事務局からの電話でした。
ここでケイ・オプティコムからの電話という部分ですごい納得がいきました。
電話での内容としては当選者にキャンセルが出たのであなたが繰上げ当選したんですが予定はどうですかという確認でした。
当然これを逃したら次はまた来年になるし、その来年も当選するかどうかわからないという思いがあったのですぐに承諾して倍率7.7倍の第33回黒部ルート欅平コースに参加する事になりました。
今回は愛知DCフリーきっぷの旅第2回を実行してから、高速バスで北陸へ移動して宇奈月に比較的近い魚津で前泊をしました。
黒部ルートそのものとしては欅平からになりますが、欅平への交通手段は黒部峡谷鉄道しかなく、黒部峡谷鉄道が運休になったら黒部ルートも中止になるという一体感あるので実質的なスタート地点としては宇奈月になります。
参考として黒部峡谷鉄道の切符は既に黒部ルート事務局で押さえられており、あとはお金を払うだけという状況になっています。
定員制のトロッコの予約を取れなかったせいで黒部ルートに参加できないといったトラブルを防止するためとのことです。
指定されている列車や車両を変えたいという場合は自分で黒部峡谷鉄道に連絡すれば可能なようです。
欅平出発コースではリラックス車両が予約されています。列車は始発であって集合時間に間に合うのはその1本だけなので日程的に変更する余地なしかなという状態ですが、車両は選択肢があります。
外気が感じられる安い普通トロッコに変更しようかとも思いましたが、当日雨だったりしたら窓付車両の方がいいなとか電話連絡するのはめんどくさいなと考え、変更しませんでした。
ちなみに当日は晴れていましたが山という事で寒く、窓付車両で正解だったなと思いました。
さて、当日。
そして歩いてすぐに宇奈月駅があります。
宇奈月駅の目の前には関西電力が運営する黒部川電気記念館がありますが、黒部ルート参加者も立ち寄れるようにしているのかと思わせる7時30分という早い時間から開館します。
黒部川電気記念館
一般向けのは探しもしませんでしたが、こっちは目に入って写真撮っちゃいました。
やはり関西電力の為の鉄道だというのを強く感じさせられました。
乗車案内
旅客列車にもいくつかの編成パターンがあるようです。
ちなみに自分の乗ったのは上から2番目の普通列車にリラックス車両が連結された13両編成でした。
発車票
この表示されている時刻表に掲載されていない工事列車より前にも発車する列車がいたので、旅客列車より関西電力関係列車の方がだいぶ始発は早い感じがしました。
たぶん有名な撮影スポット
それを別場所別角度から
トロッコは定員制ですが、乗る車両が決められているだけで座席までは決められていないので、どっち側の席を取れるかによって景色が見やすいか決まるというちょっとした席取り合戦があり写真を撮る余裕はありませんでした。
たぶんどこからか撮った風景(忘れた)
ヨーロッパのお城みたいな見た目の新柳河原発電所
ここが黒部ルートへの参加者の集合場所になっています。
ここでは通常周辺を散策して宇奈月に戻るか日電歩道へ登山(?)するしか選択肢はありません。
黒部ルートの受付を済ませ、ヘルメットが配布されます。
この先の区間ではその着用が必要となります。
また他にもこれまで一度も使った事はありませんがという前置きのあとに防塵マスクの着用方法について解説をされ、このあと利用する各乗り物にはマスクが搭載されているので非常時には着用するように指示されるなど諸注意が行われて出発となります。
別のホームとかあるのかと思っていたらそんな事はなく、また黒部渓谷鉄道のホームに戻り、そこで後続の工事関係列車へ。
ここでは工事関係列車であっても宇奈月から乗ってきた車両と特にかわりはありませんでした。
一回のスイッチバックを経てエレベータ入口へ。
トロッコごとエレベータに乗れる知る人ぞ知る有名な(矛盾)エレベータなのでエレベータにもトロッコで乗るのかと思っていましたが、そんな事はありませんでした。
上部軌道のエレベータ下部
トロッコ用エレベータ内の位置表示
隣に並行している非常用エレベータからでも救出できない時に脱出する用の階段と天井にある脱出口
こっちは実際に行っていないのでどこにつながっているかわからないエレベータ上部の欅平側
上部駅の展望台からの風景
欅平上部駅の案内板
上部軌道のバッテリーロコ(機関車)の運転台
運転台は進行方向を向くタイプではなく、進行方向に対して垂直の向きに設定されていました。
おそらくなるべくコンパクトにする為にどちら向きに進行するときでも使いやすいように、入れ替え作業がしやすいようにかなと思いました。
上部駅から高熱隧道方面
2両並んでいるのは珍しいらしいバッテリーロコ
高熱隧道通過用の耐熱客車
高熱隧道はトンネルが貫通している事による通気とダムからの水が通っている事により温度は下がっているようですが、それでも40度程度はあるとの事。
それぞれの窓に手動ワイパーが付いていて隧道内で曇ったらそれを操作して外を見る事ができました。外と言っても隧道の壁か前後の車両だけですけど。
また、写真でもわかる通りこのトロッコはとても小さく10人乗りですが、みんなで膝を寄せ合い、ぎゅう詰めで天井も低く少しでも立とうとすれば頭をぶつけるような状況でした。閉所恐怖症じゃないつもりでしたが、かなり圧迫感を感じる移動時間でした。
関電ホームページで公開されている行程ではエレベータ後はトロッコに乗りっぱなしのように書いてありますが、高熱隧道を抜けてすぐの仙人谷で停車してダムの見学時間が短時間あります。
わかりにくい蒸気の出ている穴
仙人谷から黒四方面
仙人谷駅のルート案内
黒四の駅
発電所銘板
入口
この日は4機とも点検中で発電していませんでした。
実際に使用されている水車
発電所の制御室
基本的には無人との事です。
それは第四発電所に限った事ではなく、ほとんどの発電所は遠隔操作が基本とのこと。
それに対しダムは24時間365日人が常駐し状態監視をしているそうです。
インクラインの駅。
インクラインとはなんぞやってなっていましたけど、要はケーブルカーです。
一応、ケーブルカーは旅客用でインクラインは貨物用という事になるっぽいです。
他の話は知りませんが、黒部のインクラインは厚生労働省所管らしいです。
普通、鉄道は国土交通省所管ですが工事現場にある設備という事になっているんでしょうか。
あと黒部のインクラインは客室付いていますが取り外し可能で大型資機材を搬送する時は客室を外して輸送するそうです。
またこのインクライン、万一停止してしまった際には2000段にもなる非常階段を使用して避難することになるそうです。
写真ではわかりづらいインクラインの線路。
インクラインの傾斜の度合いが少しはわかりやすい写真。
右下に写っている銀色の物体がインクラインの客室部で水平です。
左斜め上に傾斜があります。
インクラインで20分かけて昇って作廊谷へ。中ではビデオを観たりしているのでそんなに時間は感じませんでしたが。
ちなみにこの時に黒部ダム集合コースの組とすれ違います。
奥に見えているのがインクラインの客室部。
上にある大型クレーンでインクラインへ資機材を載せたりするそうです。
ここからはごく普通のバスで移動。
車両は北アルプス交通でした。
樽沢横坑からの風景
関電トンネルへ割り込める時間が限られているせいか、遅れてしまった場合はここで吸収する想定になっているのか、この場所でこんなに時間たっぷりいる?という滞在時間でした。
割り込める時間が1時間に4分しかないというシビアな設定
関電トンネル扇沢方面
これで黒部ルートは終わりです。
見学会は黒部ダム駅内で解散となりました。
1ヶ月ぶりに来たついでに…
1ヶ月前より紅葉が進んだ黒部ダム
前回来た時にはトロバスラストイヤーグッズ関係について何にも調べていなかったのですが、調べたら記念切符のレプリカセットが売っていることを知りましたが、2500セット限定で500円という安さでの9月からの販売だったのでもう売り切れているだろうなと思いつつ、帰りの切符を買うために黒部ダム駅の窓口に行ったら、レプリカセット発売中の紙があったので、思わずまだ在庫があるか聞いたら、あるとの事だったので買い無事手に入れました。
ちなみに買ったら来年の電気バスの割引券が付いてきたので、オタクはこっちも初年度だし乗るでしょ?というのが感じられました。
そして帰路につき扇沢駅へ。
来年度から使用されると思われる電気バスが車庫に入っていました。
このあとはまた北アルプス交通で信濃大町駅まで行き、前回はこの駅に南から来たので今度は北へ抜けて、糸魚川、直江津、長野を経由して未乗区間をつぶすために無駄に北へ南へと進み帰りました。
今年度までは黒部ルート見学会は平日のみ開催でしたが来年は土日を混ぜた開催となるようで、それが倍率にどう影響してくるのかなと思っています。
また一般開放時にも黒部ルート区間については無料扱いとする事で関西電力が運営する黒部専用鉄道(上部軌道)等についても鉄道事業法による基準までは満たさなくてもよいとする方向のようですが、安全対策工事は素掘り区間のある高熱隧道などで現在より進めるようで、それにかかる費用は関西電力が負担するようです。
営利企業である関西電力としてはそのコストをどこかで回収していかなければいけないと思うのですが、それが黒部ルートの前後区間である黒部峡谷鉄道や関電トンネルで回収できるのでしょうか、と関西電力の経営陣でもないのに気になってしまいます。
そんな今後がとても流動的になってきた黒部ルート見学会旅行記でした。